CWJ和歌山03 熊野古道と三山めぐり神秘のロングライド

熊野古道「中辺路」の「継桜王子」(つぎざくらおうじ)の前後では、舗装された熊野古道を自転車で走り、苔むす石壁と巨木に囲まれたいにしえの参詣道の雰囲気を体感することができます。

世界遺産、熊野古道の「中辺路」を辿って峠を越え、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社の「熊野三山」を自転車で巡るロングライドルート。
自転車なら、熊野信仰の起源となり、修験道の修行の場となった熊野の大自然を自らの身体で直接感じ、いにしえの熊野詣(くまのもうで)を手軽に疑似体験することができるのです。のんびりと寄り道をしながら、1泊2日の自転車旅として楽しむのがオススメです。
本ルートでは、苔むす石段の上り下り等を含む神社や名所へ立ち寄るのも大きな楽しみのひとつ。サイクリングの際は、替えのシューズを持参するか、フラットペダルまたはMTB用ペダル対応のシューズ等、歩きやすく滑りにくいシューズを選びましょう。
南紀白浜を出発し、熊野古道の「中辺路」をたどりながら、交通量の多い国道311号をできるかぎり避け、歴史や風土を感じる脇道を選んでサイクリング。近露王子や継桜王子の付近などでは、舗装された熊野古道そのものも走ります。1日目の宿泊は、登りが続く中辺路を走破した後、熊野本宮大社手前に位置し、河原から温泉が湧き出す川湯温泉へ。サイクリストウェルカムな老舗温泉旅館で疲れを癒しましょう。
2日目は、川湯温泉を出発し、日本最古の温泉「湯の峰温泉」を経て、熊野本宮大社へ。さらに熊野川沿いを下って熊野速玉大社へ向かいます。その直前にある、急勾配の石段と御神体の巨岩で有名な神倉神社は、一見の価値あり。
熊野灘の海沿いを走り、JR那智駅前で、那智川沿いの道に入って熊野那智大社方面へ。大門坂駐車場付近に自転車を駐輪するなどして、徒歩で大門坂を登り、熊野那智大社や那智滝を見学したら、那智滝近くの停留所からバスで大門坂駐車場まで戻るのがおすすめです。
那智を後にしたら坂を下り、JR紀伊勝浦駅でゴール。紀伊勝浦駅には特急くろしおも停車するので、輪行で白浜や和歌山方面へ戻るにも便利です。もちろん、勝浦近辺のサイクリストウェルカムな宿に泊まり、勝浦漁港に上がる極上マグロを味わい尽くすのも魅力的ですね。
距離:135km、獲得標高:2,660m


熊野古道中辺路をたどり富田川沿いに脇道をサイクリング。路面に木の板が貼られた風情あるつり橋を渡ります。

古代より熊野三山の神域への入口として重んじられた「滝尻王子」を過ぎると、本格的なヒルクライムが始まります。

近露王子を過ぎたら、小さな看板を見逃さず、細いながらも舗装された熊野古道中辺路へ入っていきます。

国道を離れ、熊野古道へと入れば雰囲気は一変。熊野信仰の起源となった神々しい自然を感じながらのサイクリング。

継桜王子の隣にある茅葺屋根の「とがの木茶屋」は、地域の有志で運営される温かな休憩所。日によって異なる美味しい飲み物をいただいて一休み。

とがの木茶屋の目の前の階段を下りていくと、すぐ下を通る道沿いにあるのが「野中の清水」。今も地域の人々に大切に守られている名水を、ボトルに詰めたら再出発。

川湯温泉は、川底から湯が湧きだす珍しい温泉。サイクリストウェルカムな温泉旅館「冨士屋」に投宿して、2日間で本ルートを楽しむのもよいでしょう。

日本最古の温泉「湯の峰温泉」は川沿いに風情ある温泉宿が並びます。実際に入れる「世界遺産の温泉」、「つぼ湯」が有名。

熊野本宮大社は、凛と張り詰めた空気が流れる、威厳ある佇まい。

明治の洪水以前の旧本宮大社の社地である「大斎原」(おおゆのはら)には、日本一の高さの大鳥居が。

熊野速玉大社へ向かう前に、その摂社であり、急勾配の石段と御神体の巨岩(ゴトビキ岩)で有名な「神倉神社」へ。巨岩を祀る祠からの景色は見事ですが、この石段は本当に厳しい傾斜。ロード用のクリート付シューズでは危険です。

熊野速玉大社は、熊野三山の他の二社と異なり比較的街中に位置し、鮮やかな色彩が踊る明るい雰囲気です。

熊野速玉大社からわずか400m、新宮市のスイーツといえば、香梅堂の「鈴焼」が有名。ふわふわできめ細かい鈴型のカステラは甘さ控えめで香ばしく、止まらなくなる美味しさです。サイクリング中には、買いやすい20粒の袋入がちょうど良いでしょう。

熊野那智大社へ向かう際は、手前の駐車場に自転車を置いて、熊野古道の代名詞ともいえる苔むす石段の「大門坂」を徒歩で登るのがおすすめです。帰りは、那智滝の停留所からバスで大門坂駐車場へ。

熊野三山めぐりの最後に訪れるのは、日本一の落差133mを誇る名瀑「那智滝」を擁する熊野那智大社。大門坂の終点からさらに石段を登り、那智山の山あいに建つ社殿から、さらに坂道を下りて、その自然崇拝の起源となった聖地、那智滝へ。