深緑色の豊富な水量をたたえて渓谷を流れる鬼怒川。その川岸に多くのホテルや旅館が連なる光景が印象的な鬼怒川温泉は、日光詣の大名や僧侶のための温泉として始まったという歴史を持つ。その鬼怒川温泉が、今、自転車で日光詣を楽しむサイクリストのために最適な拠点として注目を集めている。
日光・鬼怒川エリア初の「サイクリストウェルカムな宿」としてその先頭を走るのが、鬼怒川温泉駅から徒歩5分の便利な立地にありながら、渓谷沿いの豊かな緑に囲まれた温泉旅館、鬼怒川パークホテルズだ。
鬼怒川沿いに続く広い敷地内に、多彩な楽しみ方を提供する4種類の客室棟が連なる鬼怒川パークホテルズ。それらの全てが自転車旅に最適な「サイクリストウェルカム」な宿なのだ。
アプローチを入ると、まず出迎えてくれるのは、サドル掛け型バイクラック。チェックインの際にも、ロードバイクの置き場所に困ることはない。
チェックインを済ませたら、まずは落ち着いたクラシカルな雰囲気の談話室(木の館サブロビー)で、鬼怒川の悠々とした流れを見ながらくつろぎたい。
鬼怒川パークホテルズでは、旅の目的や人数、予算等に応じて、木心亭、木の館、木楽館、パークコテージという4種類の客室棟から部屋を選ぶことができる。
なかでも、大人の自転車乗りに心地よく、夫婦や家族、少人数の旅に適しているのが、全室が鬼怒川渓谷へ面し、次の間や展望内風呂も付いた客室「木の館」。
床の間や調度品には、日本古来の色彩や文様、意匠が施され、居心地のよい贅沢な雰囲気を醸し出している。持ち込んだロードバイクは用意された縦置き型サイクルスタンドを用いて、広縁スペースにちょうど収まるのも嬉しい。
サイクリングを楽しむ旅であっても、例えば夫婦の旅であれば、サドルを降りた後はプライベートな時間と空間をしっかりと楽しみたいもの。鬼怒川パークホテルズの「木心亭」は、そんなサイクリスト夫婦にぴったりの、離れの趣をもった「本格料亭風旅館」ともいうべき客室だ。
その徹底したプライベート感の演出は、チェックインの仕方にも表れる。
木心亭に宿泊の場合には、事前にその旨伝えておけば、ホテル正面玄関とは別の、木心亭専用に設けられた木製の「プライベートゲート」から入館し、そこでチェックインをすることができるのだ。ちょっとしたアトラクションのようでもあり、遊び心をくすぐられるではないか。
プライベートゲートを入ってチェックイン手続きを済ませたら、暖簾をくぐって木心亭専用のエントランスへ。
木心亭の石の廊下は落ち着いた雰囲気。12ヶ月の各月の名を冠した客室は、それぞれ専用のアプローチを持ち、プライベート感を高めてくれる。
木心亭の12ヶ月の名をとった客室のうち、一月〜四月の4室には石造りの露天風呂が、そして五月、六月の2室には檜造りの露天風呂が付いている。なかでも一番人気は、檜造りの露天風呂と陶器の内風呂が付いた六月(涼暮月)の間だ。
和風情緒あふれる広い専用庭園は、季節を描いた装飾とともに部屋から眺めるもよし、ゆっくり静かに檜風呂につかって眺めるもよし。
木心亭は部屋によって造りが異なるが、六月の間なら、玄関を上がったスペースに、縦置き型スタンドでロードバイクを並べておくのもよいだろう。
木心亭のもうひとつの大きな魅力は、板長が腕を振るった会席料理を、お部屋出しでいただくことができる点だ。
ここでも、徹底してプライベートを大切にする木心亭のコンセプトが心地よく感じられるだろう。
一方で、気心の知れたサイクリング仲間で、あるいはチームやクラブといったグループで、気軽にサイクリングの旅を楽しみたいといった要望にも、しっかりと答えることができるのが、鬼怒川パークホテルズの特徴だ。
フロントや大浴場のある本館にあたる「木楽館」では、使いやすさを第一に考えたスタンダードな和室が中心。人数や目的に応じた多様な広さ・形状の客室が用意されている。
特に、8〜10人が宿泊できる二間続きの大きな和室は、グループでのサイクリング旅や合宿などの際に重宝されるであろう。
こちらも、縦置き型サイクルスタンドを用いて、客室内に自転車を持ちこみ、保管することができる。
木の館や木楽館の上階の客室に自転車を持ち込む際には、エレベーターに自転車を載せて向かうことになる。鬼怒川パークホテルズのエレベーターは、自転車を縦にすれば2台の自転車も余裕を持って載せることができる十分な広さだ。もちろん、エレベーターに他のお客様がいる場合は先を譲り、乗り降りの際にも自転車で驚かせないように注意したい。
なお、エレベーターに乗せて客室まで自転車を持っていくのが億劫だという場合や、グループ全員の自転車を客室内に置くのが難しいという場合などには、エントランス手前の中庭に配された別棟「月の庭」の室内の広いスペースで自転車を保管することも可能だ。この場合には、事前にその旨の希望を伝えておくとよい。
さらにもうひとつ、鬼怒川パークホテルズには、温泉旅館には珍しい、洋風コテージ型の客室棟「パークコテージ」がある。
鬼怒川渓谷に沿って並び建つパークコテージは、全ての客室が専用の玄関をもつプライベート仕様。
フロントから敷地内を歩いて向かうと最も奥に位置しているパークコテージだが、その端は一般道に接しているため、自転車なら、さっと外の道を回って直接自分の部屋へアクセスできるというのも面白い。
しかも、パークコテージには、食事なしの素泊まりのプランや、朝食のみのプランなども用意されており、到着時間が遅くなる場合や、予算重視という場合にも、気軽かつ柔軟に利用することができる宿として重宝されるだろう。
パークコテージは、他の客室とは打って変わったカジュアルな洋室ツイン仕様だ。
窓から眺める鬼怒川渓谷の景色は素晴らしい。
客室の風呂はユニットバスだが、もちろん、本館(木楽館)の大浴場や露天風呂でゆっくりと温泉を堪能することができる。
室内に自転車を入れる前に、特に濡れた路面を走った後などには、タイヤや車体についた汚れは落としておきたい。
鬼怒川パークホテルズの本館エントランスの脇には、ホースの付いた水道が備え付けられているので、ここで自転車の汚れを落とすことができる。
もちろん、フレンチバルブ対応の空気入れポンプも完備しているので、タイヤの空気圧が気になるときは、しっかりと空気を入れてライドに備えよう。
日光・鬼怒川の美しい自然や歴史を満喫したライドのあとは、極上の温泉で疲れを癒したい。
温泉の泉質は、運動後の疲労回復にはもってこいの弱アルカリ性単純泉。鬼怒川パークホテルズの本館(木楽館)の大浴場では、趣向を凝らした多彩な湯船が楽しませてくれる。
鬼怒川のライン下りに使用された船を湯船としてしつらえた「屋形船風呂」。
時代情緒たっぷりの「大江戸浮世風呂」。
樹齢二千年の檜材を使った「古代檜風呂」。
そしてごつごつとした大きな岩にかこまれた露天風呂も。
また、事前予約制で有料にはなるが、木立に囲まれた緑豊かなプライベート空間で、四季の彩りとともに温泉をゆっくりと愉しむことのできる、野趣豊かな庭園貸切露天風呂も用意されている。
サイクリングの心地よい疲れを温泉で癒した後は、美味しい食事でしっかりと栄養補給しておきたい。
夕食は、旬の味覚を贅沢に盛り込んだ”NIKKO CUISINE”。
食事の場所や内容は、季節やプランによって様々だが、「木の館」か「木楽館」に泊まるなら、おすすめは景色の良い料亭「月見亭」で食す、栃木の味覚を盛り込んだ会席膳だ。
同じ月見亭で供される朝食は、彩りも豊かなヘルシーかつボリュームのある和食。この日のサイクリングへ向けてしっかりとエネルギーチャージしておこう。
温泉と会席料理、快適な睡眠でゆっくりと身体を休めたら、翌日は朝からライドに出かけたい。
鬼怒川パークホテルズでは、チェックアウト後も、存分に日光・鬼怒川サイクリングを楽しめるよう、フロントで宿泊者の荷物を無料で預かっている。また、その帰着時には、再び温泉で汗を流すこともできる(時間帯の制限あり)というのだから嬉しい。
朝一番に荷物をフロントに預け、鬼怒川沿いのサイクリングを楽しんでお昼に戻ってきたら、ランチには、鬼怒川パークホテルズの真向かいにある系列のカフェ「水辺のカフェテラス」がちょうどよい。
店内に入ると目の前に広がる池の水面が、すぐ足元まで続いている。大きな窓ガラスに囲まれた開放的な雰囲気の中で、旅の思い出を語り合い、次のサイクリングのプランを練る。心地よい時間となるだろう。