フランス語で「森」を意味する「ラフォーレ(La Foret)」。
その名にたがわず、ラフォーレ那須は御用邸の森に隣接し、深い緑に包まれた静かな立地の温泉リゾートホテルである。
全国に展開する法人会員制リゾート倶楽部で有名なラフォーレだが、その中でも、ラフォーレ那須は最もサイクルフレンドリーな施設だといえよう。
まずは、そのロケーション。
那須岳(茶臼岳)の山腹、標高700mに建つラフォーレ那須からは、自転車でいける最高地点である那須岳峠の茶屋(標高1,462m)まで約11km。ヒルクライムチャレンジの拠点としてちょうど良い位置にある。
客室のおススメは、この雄大な那須連山の麓に広がるパノラマビューが自慢のコテージ棟。
広いリビングに和室二間がついたコテージは、7名まで宿泊が可能。グループでのツーリングやライドツアー、合宿などにも最適だ。
自転車というアクティビティは、走りながら会話を楽しむということにはあまり向いているとはいえないもの。だからこそ、自転車を降りた夜の部は、皆で一緒にワイワイやりたいものだ。
大人数が同室できるコテージタイプの客室なら、グループみんなで自転車談義に花を咲かせ、ライド仲間の絆を深めることができるだろう。
サイクリスト目線から見たこのホテルの大きな特徴の一つは、夏季は使われていない堅牢な「スキー保管室」を、宿泊サイクリストが自転車の屋内保管場所として利用できること。ロードバイクなら数十台は置けそうな十分な広さがあり、夜間は施錠されるので防犯面でも安心だ。
このスキー保管室には、鍵付ロッカーやベンチも備え付けられている。ここでサイクリングシューズを脱いで、サンダルに履きかえれば、部屋までの道のりでクリートをすり減らすこともないというわけだ。
自転車メンテナンス工具も一式完備されている。
スキー保管室の前には、宿泊者が利用可能な水道もあり、激しく汚れたタイヤ周りなども、室内へ入れる前に簡単に洗い流すことができるのが嬉しい。
驚きなのは、同じ建物の上部に、素晴らしく立派な体育館(アリーナ)があること!
宿泊者は無料で使用できるそうなので、雨天の際のインドアトレーニングなどにも重宝しそうだ。
もちろん、一人旅や、夫婦/カップルなどでサイクリングを楽しむという場合には、ホテル棟の客室に自転車の持込みも可能だ。そのための室内用スタンドなども用意されている。
さて、ライドを終えたら、天然温泉でリフレッシュだ。
チェックインを先に済ませていれば、ライド後のサイクルウェア姿で本館(ホテル棟)ロビーを通らずに、コテージから近い4階の入口から本館へ入り、そのまま温泉大浴場へ向かうのがおススメ。温泉の泉質は白濁の単純酸性硫黄温泉。漂う硫黄の香りが温泉気分を盛り上げる。
温泉から出たあとは、5階にあるランドリーコーナーの洗濯機(有料)で汚れたウェアを洗濯しよう。乾燥機もあるが、速乾素材のサイクルウェアなら、脱水までして一晩部屋干ししておけば、翌朝には乾くだろう。清潔なウェアで、心地よく翌日のライドを楽しむことができるのだ。
四季折々の地場の食材をあしらった料理が、夜の宴を一層盛り上げてくれることだろう。