現在は国道148号とJR大糸線にその物流の大動脈としての地位を譲った「塩の道」ですが、古事記にも日本海からヒスイを運んだ道として登場するなどその歴史はとても古いのです。とくに渓谷の深い小谷エリアでは暴れ川の姫川を避け、山腹を縫うようにして道がつけられ、牛方や馬方が海産物を信濃へ、農産物を越後に届けたとのこと。街道沿いには素朴な石仏や馬頭観音などが置かれ、旅の苦労をしのぶとともに、現在まで受け継がれている山間の集落や棚田など、この土地ならではの人の暮らしぶりを見ることができます。また、雪深いこのエリアにはマタギ文化が残っており、ジビエが食べられるレストランもあるので、是非立ち寄ってみたいところです。
コルチナから少し足を伸ばして脇道に入れば、黄金色に輝く棚田や、刈り取った稲を天日で干したはざ掛けの様子が見られ、なぜか懐かしさがこみ上げてくるでしょう。
栂池高原から千国街道を下れば、牛方宿が。牛を使って荷を運ぶ人を牛方といい、人と牛が一つ屋根の下に寝泊りして旅の疲れを癒しました。この街道に現存する唯一のもので、村の有形文化財になっています。
白馬駅にほど近く流れる木流川は、江戸時代の農業用水路で、白馬山麓で切り出した薪を流し、下流の集落まで運んだことにちなんで名づけられたと言われています。山岳域にも近いため、流れ着いた種から育った高山植物には平地では珍しい種類も。
白馬から長野方面へと向かってひと登りすれば、そばの産地で朝の連続ドラマ「おひさま」のロケ地としても有名になった中山高原へ。5月には菜の花、8月下旬から9月上旬にはそばの花が咲き誇ります。
地元で観光道路と呼ばれる高台の道は、春は大木に桜が咲き、秋にはりんごがたわわに実る並木通りで、北アルプスの稜線と大町市街を合間に眺めながら快走できます。
大町市の美麻地区には獣肉加工所があり、鹿肉などが流通します。中山高原のカフェでは地元産ジビエのオリジナル料理を味わうことができます。