静岡県の東端部に位置し、南へ約50kmにわたって突き出した伊豆半島全域を含むエリア。
それほど高い山はありませんが、半島の大部分を山地が占め、平坦地は少ないため、全体として起伏に富んだルートになりやすいといえます。最高峰は天城連山の万三郎岳(1,406m)。
田畑が一面に広がるというよりは、傾斜に沿った棚田や段々畑の風景がよくみられます。
本州で唯一、フィリピン海プレートの上にのっている伊豆半島は、かつては南洋にあった火山島や海底火山の集まりで、プレートの北上に伴い火山活動を繰り返しながら本州に衝突し誕生しました。現在も火山活動や地殻変動が続いており、これによって豊かな温泉や変化に富んだ地形がもたらされています。
また、天城山を源流とする一級河川である狩野川が、太平洋側では珍しい北へ向かって流れる川となっているのも、このことが関係していると言われています。
伊豆には多くの有名温泉地があり、観光の中心となっています。また、漁港も多く、温泉に入って新鮮な魚介類を食すというのが、伊豆観光の定番ともいえるでしょう。他方、山間部では、山葵(わさび)が多く栽培され、またイノシシ肉を使った料理なども提供されています。
電車でも車でも、首都圏からアクセスしやすく、また宿泊施設も充実しているため、旅の計画も立てやすいエリアといえるでしょう。山岳ルートと海岸線を同時に楽しむことができ、美しい富士山を望む絶景にも恵まれています。
何より、年中温暖な気候のおかげで、他のエリアの峠道が通行止めになるような真冬の時期でも、峠を含む絶景ルートを走ることができることは、関東・中部圏のサイクリストにとって大きな魅力です。
地の食材を使った美味しい食事と温泉、そして快適な宿が豊富にそろう伊豆エリアは、自転車旅の目的地として、大きな可能性を秘めているといえるでしょう。
川端康成の『伊豆の踊子』や松本清張の『天城越え』でも有名な天城山隧道(旧天城トンネル)は、旅情溢れる静かな佇まい。自転車でも自由に通行可能だが、アプローチは未舗装路なので注意。
傾斜に沿って作られた棚田とそれに連なるわさび田。中伊豆でよくみかける風景。
戸田から半島の西側の海岸線を走れば、駿河湾越しに見る富士山がほんのり色づくこんな素敵な情景に出会えることも。
西伊豆で古道を再生し、MTBトレイルとしてガイドツアーを行っている「山伏トレイルツアー」は、自転車で伊豆を楽しむ新しいアクティビティとして要注目。
沼津市口野の海沿いにある「チェレステカフェ」は自転車好きの夫婦が営むサイクルカフェ。人気のプレートメニューやスイーツをいただきながら、おすすめルートの相談にも。
サイクリング中に天城へ寄ったら、「サイクリスト御用達」の鈴木屋食堂で、名物「やまあらし丼」(猪丼)を食してみては?